相手を敬っているつもりでも実は不快感を与えてしまうのが通称バイト敬語といわれるものです。
無意識のうちについつい使いがちなので注意が必要です。
学生時代などに接客のアルバイトを経験された方も多いと思います。
接客のアルバイトでは敬語の原理を学ぶというよりは、一つ一つの場面で決まり文句となっている
フレーズを体得していくということで敬語を身につけます。
よく耳にする言葉であっても、敬語の原理と矛盾している表現も多くあります。
本人はきちんと敬語を使っているつもりでも、相手に不快感を抱かせてしまっているときがあります。
無意識に使っている表現がないか、幾つか例を挙げていきますのでチェックしてみましょう。
例1
「よろしかったでしょうか」 ×
「よろしいでしょうか」 ○
このフレーズを良く耳にする方も多いのではないでしょうか。
「よろしかった」の「かった」は過去・確認の意味を持つ助動詞です。
この「かった」のニュアンスにより、押しつけがましいと受け取る人も多いので注意が必要です。
例2
「おつりの方は○円です」 ×
「おつりは○円です」 ○
このフレーズも良く耳にしますね。
「〜の方」は本来、二つのものを比べるときや方角を指す際に使う言葉です。
「お水の方はいかがですか」など「〜の方」とつけるのは誤りです。
例3
「ご苦労様です」 ×
「おつかれさまです」 ○
「ご苦労さま」はもともと自分よりも下の立場の人間の働きをねぎらう言葉なので、目上の人に使うと不愉快に思われます。
例4
「ご利用できません」 ×
「ご利用になれません」 ○
「利用する」の主語はお客様であり、尊敬語の「ご〜になる」表現を使う必要があります。
「できません」ではなく「なれません」と言うのが正解です。
例5
「おしぼりになります」 ×
「おしぼりです」 ○
このフレーズも良く耳にしますね。
「〜になる」は、ある状態から別の状態への変化を意味する語です。
お客さまへ商品等を提供する際の「〜なります」は間違った言い方です。
例6
「1000円からお預かりします」 ×
「1000円お預かりします」 ○
この中から一部を受け取り、おつりを返すという感覚かもしれませんが、この場合「から」は必要ありません。
例7
「レシートのお返しです」 ×
「レシートをお渡しします」 ○
レシートはそもそもお客様から受け取るものではありません。
また、お店から返すものでもないです。
そのため「お返しする」という表現は間違っています。
例8
「お待ちいただく形になります」 ×
「恐れ入りますが、お待ちいただきます」○
お断りのフレーズを活用する場合は、柔らかい印象を与える様に「恐れ入りますが」などのクッション言葉を使用しましょう。
また、申し訳ない気持ちから、語尾を曖昧にして表現をする方が多くいます。
ですが、曖昧な表現である「形」は、使用せずきちんと言い切り相手にお伝えすることが大切です。
例9
「お休みをいただいております」 ×
「本日お休みを取っております」 ○
お客様からお休みをもらっているわけではないので、この表現は間違えです。
いかがでしたか?
「えっ、これって間違えた言い方なの?」というのもあったのではないでしょうか?
そう思った方は、もしかしたら普段色々なお店で耳にすることが多いのかもしれませんね。
そのくらいバイト敬語というのは浸透してしまっています。実際に良く私も耳にします。
知らず知らずのうちについ使ってしまいがちなバイト敬語、ビジネスの場で使うと恥ずかしい思いを
するかもしれませんので、きちんとした敬語を使えるようになりたいものですね。
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