はじめまして、講師の長尾貴代と申します。私は、今年2月まで自治体の窓口で毎日たくさんのお客様と接しておりました。その窓口では「日本一」を目指して、改善改革施策が企画検討、実施され、私もその改善活動のリーダーの一人として携わっておりました。
行政の窓口と言えば、「お役所体質」「たらいまわし」「無愛想」というイメージをお持ちのお客様が多いことは、残念ながら今も変わらぬ現実です。しかしながら、せっかくお客様の大切な時間を割いて手続きに来ていただくのですから、「気持ちよく、晴れやかに、笑顔でお帰りいただきたい」という信念でひとりひとりのお客様にお会いしてまいりました。
職員全員が同じ信念を持って、一期一会の出会いを大切にできたら…恐らく日本一の窓口は達成できたことでしょう。ですが、どの業種においてもスタッフ全員の気持ちを同じレベルに保つのは困難であることは容易に想像がつきます。私が所属していた部署の職員数は約100名。人件費削減により、正職員だけでなく、非正規職員が最前線で活躍しておりました。非正規職員は正職員よりも勤務時間が短い職員が大多数の為、シフト制が導入され、忙しい業務の合間に職員同士のコミュニケーションをとるのも非常に難しくなっていました。
そんな折、導入されたのが、一緒に働く仲間に感謝の気持ちを表す「ハッピーカード」という改善施策でした。仲間を助けること、感謝の気持ちを伝えることを大切にしたこの施策は職場のコミュニケーション力・チームワークを向上させただけでなく、思わぬ効果もありました。
「感じのいいお店」に共通していることの一つに「スタッフ同士の意思疎通がとれており、チームワークがよい」ということが挙げられます。職場の雰囲気、風通しの良さが自然とお客様に伝わってしまう。そんなことがありますが、実際に私の職場においても、年に数件寄せられていたクレーム、クレーマーと呼ばれるお客様の存在が激減したのです。
年に2回行われる窓口アンケートやお客様からの声でもお褒めの言葉をたくさん頂戴するまでになりました。元々はES(従業員満足度)向上の為にはじめた施策がCS(お客様満足度)向上に大きく貢献したのです。いきなりCSを向上させるのはハードルが高いとお思いの方、まずはES向上からはじめてみてはいかがでしょうか。
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