2015年10月より日本国内に住民票を置くすべての人に、12桁のマイナンバー(個人番号)が割り当てられます。今回はこのマイナンバー制度への対応を検討するにあたり、当該制度創設の背景について見ていきたいと思います。
国民一人一人にマイナンバーを割り当てることとなった背景には、少子高齢化の進展による社会保障費の増大があります。下表は日本国内の人口に占める65歳以上の方の割合です。
高年齢者の全人口に占める割合が現在より低かった頃は、多くの中高年層・若年層の労働力によって高年齢層の社会保障費を支えることができました。しかし、高年齢者の全人口に占める割合が高まるにつれ、中高年層・若年層の労働力だけでは社会保障費を支えきれなくなる可能性が高まってきました。
そこで、社会保障費を捻出するために2つの課題が取り上げられます。1つ目の課題は、いかに税・社会保険料徴収額を正確にしていくかということです。全国民の正確な所得情報を把握し、所得の過少申告や不正還付を防止し、社会保障費を捻出しようという観点です。2つ目の課題は、いかに行政コストを削減するかということです。例えば、現在私たちは引っ越しをする際に、もともと住んでいた地域を管轄する行政機関に転出届を提出し、引っ越し先を管轄する行政機関に転入届を提出しています。これにより、行政機関も人手が必要となっていますが、行政当局間で個人情報の共有ができれば、業務の効率化が実現されます。これにより、行政コストを削減し、社会保障費を捻出しようという観点です。
上記の課題を解決するために、国民一人一人に割り振ったマイナンバーに氏名・住所・年齢・性別といった基本情報のほか、所得情報や納税情報、転出入情報を紐づけ、各行政機関で共有します。
そこで、事業者は、2016年1月から行政機関に提出する社会保障関連書類(雇用保険、健康保険、年金などの手続き書類)や税務関係書類(従業員やその扶養家族、株主、取引先への支払調書や源泉徴収票など)に該当者のマイナンバーを記入する必要があります。つまり、該当者のマイナンバーを取得し、利用・保存・提供し、不必要なものは廃棄・削除をしていかなければなりません。次回はそれぞれのステップにおける留意点を見ていきます。
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