マイナンバー制度への対応 【その5 マイナンバー(個人番号)取得時の本人確認】

前回は、マイナンバーを取得する留意点として、①取得対象者の洗い出し、②取得時期の周知、③教育・研修の実施、④利用目的の明示、⑤本人確認の実施、について見てきました。

事業者にとって、マイナンバーを取得するべき対象者には従業員や取引先の個人事業主の他に、その扶養親族も含まれます。今回は、扶養親族の本人確認の方法について見ていきます。

 

扶養親族のマイナンバーを取得する目的は、扶養親族の税制と社会保障制度に関する書類などにマイナンバーを記載するためですが、その書類は、以下のように大きく2つのパターンに分かれます。

①その書類の提出義務者が従業員の場合

例:給与所得の扶養控除申告書など

②その書類の提出義務者が扶養親族本人の場合

例:国民年金第3号被保険者関係届、健康保険の給付金申請など

 

①のケースは、従業員が扶養親族の本人確認(番号の確認と身元の確認)を行い、事業者に扶養親族のマイナンバーを提供します。この場合、従業員が個人番号関係事務実施者になり、事業者が扶養親族の本人確認をする必要はないと言えます。

マイナンバー1

②のケースは、2つの方法があります。1つ目は、従業員に扶養親族の代理人となってもらってマイナンバーを取得する方法です。これは、従業員が扶養親族の代理人となるべく、その扶養親族から委任状をもらい、扶養親族のマイナンバーを取得します。そして、従業員自身の身分証明書とともに、事業者に提出し、事業者はその従業員の扶養親族のマイナンバーを取得する、というものです。つまり、事業者は、従業員の扶養親族のマイナンバーを取得するにあたり、従業員に扶養親族の代理権があるかどうか、代理人の身元は正しいものかどうか、扶養親族の番号は正しいものかどうか、を確認します。

マイナンバー

 

2つ目の方法は、本来事業者が行うべき「扶養親族からマイナンバーの提供を受けて本人確認を行う事務」を従業員に委託をする方法です。この方法は、従業員へ委託した事業者は従業員の管理監督義務が発生します。扶養親族のマイナンバーが漏えいした場合に、事業者は管理監督責任が問われますので、リスクの高い方法と言えます。

よって、従業員が扶養親族の代理人としてマイナンバーを提供する方法が最善と言えるでしょう。

 

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